増田セバスチャン展覧会『Yes, Kawaii Is Art』大阪

2021年10/30(土)-11/21(日) 増田セバスチャンによる展覧会『Yes, Kawaii Is Art』を大阪・北加賀屋で開催。

 

2020年以降、増田はパンデミックで沈む心に色彩で希望を灯すために、世界中に広がるKawaiiコミュニティと対話を続けてきました。

Kawaiiとは何なのか?なぜ国境や世代、性別を超えて価値観が伝播し、コミュニティが継続していくのか?

本展は、増田セバスチャンの作品とアクティビストとしての活動を通して、その核心 であるKawaiiが持つ奥の深さと新たな可能性を体感する試みです。

「”Kawaii”のその先が見てみたい。それが、モノを作り続けずにはいられない、僕の原動力なのです。」 ―― 増田セバスチャン

 

3つの会場と展示作品

展示は、大阪の工場地帯でもありアートエリアでもある「北加賀屋」。第1会場は元家具倉庫の廃墟「kagoo」(写真)、第2会場はクラブなども入る「音ビル」、第3会場は文化住宅をリノベーションした「千鳥文化」の3会場。この3会場で作品が展示され、街を巡回する形で作品を鑑賞します。

 

第1会場 kagoo
部屋型インスタレーション作品「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」
-世界中を旅した極彩色の作品を日本初展示

カラフルリベリオンは「反抗的色彩」という意味を持つシリーズで、2014年に発表された本作は七つの大罪をテーマに自画像として作り上げたもの。当作品は2014年にニューヨーク・チェルシーで展示されて以降、フロリダ「Young At Art Museum」、ミラノ「Milano Salone」、アムステルダム「Tropenmuseum」、アントワープ「Museum aan de Stroom」で展示された増田セバスチャンの代表作です。今回は日本で初めての一般公開となります。

今回は元家具倉庫の廃墟「kagoo」の建築的特徴を活かし、通称「色の部屋」「音の部屋」「光の部屋」という3つの部屋がある空間として展示。作品を制作するきっかけとなった2013年秋のニューヨークでの増田の回顧録とともにご覧いただきます。

 

また、同会場の無料エリアでは「Yes, Kawaii Is Art」の導入として、京都芸術大学ウルトラファクトリーで増田セバスチャンが手掛ける「カラフル・ラボ」の学生たちと行ったKawaii文化に関するリサーチプロジェクトの成果も展示。戦後少女文化から続くKawaii相関図や、世界Kawaiiコミュニティの映像などを通して、Kawaiiの潮流やコミュニティの現在地を紹介しました。

 

第2会場 音ビル:

上演型作品「Fantastic Voyage, Prototype II
-コロナ禍だからこそ生まれた、自分の記憶と共に旅をする体験型作品

第2会場はクラブやスタジオなど音楽関連の活動拠点として使用されている、インダストリアルな雰囲気の「音ビル」。2021年2月に東京・北千住「BUoY」にて3日間のみ開催された「Fantastic Voyage(ファンタスティック・ヴォヤージ)」を刷新して上演。

本作は増田がコロナ禍で急激に変化を遂げる世界にとまどいながらも対峙し生まれた作品。1台の透明なカプセルが空間を彷徨い、音や言葉のイメージが散りばめられた世界を進み、それを見つめる鑑賞者とカプセルに乗った体験者という立場で言葉を交わすことなく同じ時間を共有します。

「隔離された世界で未来を想像する装置」という構想のプロトタイプであり、鑑賞者の深層心理に潜り込むような30分ほどの上演型の作品となっています。

 

第3会場:世界時計「Colorful Rebellion -WORLD TIME CLOCK-」
-原宿の名所「世界時計」が2つの姿で再生

第3会場である「千鳥文化」は築60年ほどの文化住宅をリノベーションして作られた、食堂・商店・バー・ギャラリー・ホールなどが混在する文化複合施設で、北加賀屋でも人気のスポット。

ここでは2015年から原宿の街で愛され、世界中からの訪問者の記憶に残った世界時計「Colorful Rebellion -WORLD TIME CLOCK-」を作品に転換して展示。原宿の街角に展示されていた世界時計は、実際に原宿の街角に展示され、色褪せていったマテリアルはそのままに、新たなイメージを加えて再構成した2015年版と、世界時計が制作された当時の色を再現して作られた2019年版の2つを展示しました。

 

関連イベント:6%DOKIDOKI「Colorful Riot」
-Kawaiiの体現者たちによるファッションショー

第1会場のkagooの無料エリアでは、関連イベントとして増田セバスチャンが1995年にオープンした原宿のショップ・ブランドである「6%DOKIDOKI」のファッションショーを開催。世界中から注目を集めるカラフルなビジュアルの面々はまさに「Kawaiiの現在地」の体現者たち。大阪でのファッションショーは初となり、テーマに「Colorful Riot」を掲げて参加型のストリートショーを行いました。当日は200人以上が参加し、一緒に北加賀屋の街でウォーキングを行いました。

 

【レビュー記事】
増田セバスチャンと大阪・北加賀屋が起こす新しいアート・ムーブメント ― 「YES, KAWAII IS ART」、共同スタジオ「SSK」、巨大アート倉庫「MASK」
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/908

Kawaiiによる抵抗と連帯のムーブメント「増田セバスチャン展 YES, KAWAII IS ART」三木学評
https://etoki.art/review/3255

【レポート】『Yes, Kawaii Is Art』大阪に続き、いよいよ東京・神田明神で12/4(土)スタートです!|HELI(X)UM #note
https://note.com/helixum/n/n67d5791519ab